大橋直久「休憩時間以外はだめだ」
水田さなえさんは健康飲料「イーグル」の販売員である。
毎日、商品をいっぱい積んだ手押し車を押しながら、ビルの谷間を訪ね歩く。
あそこのビルで、ここの事務所で、大勢の人が彼女が来るのを待っている。
彼女は、みんなの天使である。
しかし、地上の天使は現状に甘えているわけにはいかない。
天使といえども、営業成績にその生活がかかっている。
だから、新しいお得意さんを求めて新規開拓に務める必要がある。
「ごめんください。『イーグル』の水田です。総務課長さんはいらつしゃいますでしょうか。ちょっとお会いしたいのですが」
「あ、セールスか。セールスなら休憩時間の昼休みにしてくれ。それ以外はだめだ」
お客様は面倒くさいと思うと、すぐ「昼休みにしてくれ」という。
それでいて、昼休みに会いにいくと、食事に出かけて留守だったり……。
大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座