飼育員の就職事情(大橋直久)
動物園や水族館の飼育員は、若い人に根強い人気がある。
全国各地に点在する有名施設の取り組みが耳目を集め、他の施設も競い合うようにサービス強化に動いている。
飼育員になるために特に資格は必要ないが、畜産学科や水産学科などで学ぶなど相応の専門知識を要しているのが望ましい。
応募者のほとんどが学芸員の資格を持っている。
ただ、実際に職に就くとなると話は別。上野動物園や葛西臨海水族園などを管理運営している公益財団法人東京動物園協会によると、飼育員の採用は欠員補充が一般的で、若干名の募集に対し、毎回、300~400件の応募が寄せられるという。
どうしても飼育員になりたいという人は、施設で飼育員を補佐するアルバイトをしながら正規採用のチャンスを待っているのが現状だという。
大橋直久
大橋直久「休憩時間以外はだめだ」
水田さなえさんは健康飲料「イーグル」の販売員である。
毎日、商品をいっぱい積んだ手押し車を押しながら、ビルの谷間を訪ね歩く。
あそこのビルで、ここの事務所で、大勢の人が彼女が来るのを待っている。
彼女は、みんなの天使である。
しかし、地上の天使は現状に甘えているわけにはいかない。
天使といえども、営業成績にその生活がかかっている。
だから、新しいお得意さんを求めて新規開拓に務める必要がある。
「ごめんください。『イーグル』の水田です。総務課長さんはいらつしゃいますでしょうか。ちょっとお会いしたいのですが」
「あ、セールスか。セールスなら休憩時間の昼休みにしてくれ。それ以外はだめだ」
お客様は面倒くさいと思うと、すぐ「昼休みにしてくれ」という。
それでいて、昼休みに会いにいくと、食事に出かけて留守だったり……。
大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座
大橋直久「また後で電話します」
ベテランは、これと同じ反論が出たら、どう対処するか。
それは、この相手の、逆手をとることだ。
「ありがとうございます。
わざわざお電話をいただけるなんて、……私、株式会社ブローニュのものですが、電話番号はご記憶していただいておられますか」
「……」
「ひょっとしたらお忘れいただいたのかもしれません。お客様は、お仕事柄いろんな方々とお会いになられるようですし、また、いつもご多忙のようにお見受けいたしますが……」
「……」
これでよいのだ。
単純に断わる非常識な相手は、以前にどんなセールスマンが来訪したかなど全然記憶していないのが普通だからだ。
お客様は一瞬たじろぐが、これまで惰性で口にしていた、「あとで電話する」という断わり文句が役に立たないことに自分で目ざめ、「オヤッ」と思いながらも、
「そういつも忙しいわけではないんだが……」と別の言葉を発するようになる。
こうなれば、あとはこちらのペースだ。
「念のために、私の名刺を差し上げます。私、株式会社ブローニュの石井です。電話番号は●番です。失礼ですが、いつお電話をいただけるでしょうか」
大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座
大橋直久「無理なく契約を獲得する」
悲劇的な事態を回避し、無理なく契約を獲得するためには、毎回お客様との打合せが終わった時点で、
(1)お客様から聞いた話の内容を復唱し、こちらの理解に相違がないか確認してもらう。
(2)お客様にこちらが提案した内容について問題点はなかったか再確認する。
(3)次回の面会約束とテーマを確認する。
(4)それまでお互いにやっておくべき宿題があれば、その内容も確認しておく。
こうすれば、セールスマンのひとりよがりで、「自分としてはお客様に十分に説明をしたから、大丈夫だ」という式の自己過信を予防できるようになる。
その手順をしめした会話のサンプルを参考までに、つぎに紹介しておこう。
売手「では、最後に、今日のこれまでの話をまとめてみましょう。御社様では、伝票処理時間の短縮化が問題で、これをぜひ早急に解決なさりたいというわけですね」
顧客「ええ、その通りです」
売手「その点で、弊社のPWモデル562ですと、ご希望にそえる機能を装備しています。このことについてはご理解いただけましたでしょうか」
顧客「はい、今日のご説明でだいぶよくわかりました」
大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座
大橋直久「クロージングの効果的ポイント」
お客様との打合せや商談が終わると、たいていのセールスマンは、次回アポイントメントをもらっただけで帰ってきてしまう。
そのさい、お客様は「では、いちどデモを見てみよう」とか、「じゃあ、とりあえず見積書を持ってきてよ」といってくれる。
だが、はたして本気でそれを要求しているのか、それともセールスマンに早く立ち去ってもらうために、ていよく追い返す口実でそういったのか。
これは疑ってみる必要があることなのだ。
あるとき、わたしは研修を依頼してきた企業の協力で、その会社の約三〇〇件の営業日報を点検し、そこのお客様への追跡調査をした結果では、全体の六七パーセントがなんとなくデモを見ようといったまでだとか、文字通り「とりあえず」見積書をもってきてほしいといったまでであって、お客様は本気でそれにコミットしようとはさらさら思っていなかったのである。
ところが、セールスマンのほうではお客様からコミットがもらえた、つまり商談が前進したと喜んでいる。
それがぬか喜びだと気づいていない。
そして、それが実際には本物でなかったことは、クロージング段階で最終的に合意がもらえないことによって判明するのである。
大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座