大橋直久「鉱山の芝居小屋を産業観光資源に」

秋田県小坂町茨城県日立市、この両者はほぼ同じ経緯を辿っている。

秋田県小坂町には日本三大銅山のひとつ小坂鉱山があり、鉱山都市として発展してきた。

この鉱山の従業員娯楽施設として木造の「康楽館」が1910(明治43)年に建設された。

産業付属施設であるが、現存する芝居小屋としては日本最古といわれる。

老朽のため1970(昭和45)年使用中止、1985(昭和60)年には同和鉱業から小坂町に譲渡され産業文化財として保存されることとなった。

一方、茨城県日立市にも銅鉱山があり小坂の姉妹鉱山として発展した。

ここにも1917(大正6)年東京歌舞伎座を模した木造芝居小屋「共楽館」が建設された。

これも従業員の慰安を考えた産業付属施設であったが市民にも親しまれた。

小坂と同様、1967(昭和42)年日立鉱山から日立市に譲渡された。

「康楽館」「共楽館」ともに鉱山従業員とその家族の娯楽施設から地域最大の劇場となり、やがてはまちの中核施設となった。

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