大橋直久「碓氷峠鉄道遺産(群馬県安中市松井田町)」

国鉄信越線のうち1893(明治26)年に開通した横川〜軽井沢間の碓氷峠区間12kmの間には、標高差約500mを上下する急勾配区間があった。

従来方式の鉄道では運転できないため、スイスの山岳地帯で用いられていたアプト式鉄道(左右のレール間に歯形のラックレールを設け、機関車の歯車とかみ合わせて空転を防ぐ)が採用された。

しかし横川、軽井沢両駅で特殊機関車への付け替え作業が必要なうえ、けん引両数も制限されるので、1963(昭和38)年粘着式運転に変更し、一部区間は路線付け替えで廃線となった。

次いで1997(平成9)年には長野新幹線開通に伴い、横川〜軽井沢間は全面廃線となり、この区間に多くの鉄道遺産、遺構が残された。

橋梁(レンガづくり)、トンネル、変電所等鉄道遺産群が発生したのである。


前記の遺産遺構をどう活用するか議論されたうえ、群馬県松井田町が産業観光資源として活用すべく、JRと協議して具体的施策の検討を重ねた(1993(平成5)年近代化産業遺産として「碓氷峠鉄道施設」が重要文化財に指定されている)。

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