大橋直久「偏差値の問題」


1994(平成6)年の春の高校入試は、「脱偏差値元年」ということで話題になったが、「業者テスト」廃止による混乱が起きた中学が少なくないという。

「業者テストを廃止されたのでは、何を基準にして、生徒の進路指導をしたらよいかわからない」といった、教師たちの反発が多かったようであるが、このような意識の教師が多いことが、偏差値社会をはびこらせてきたと思われる。

偏差値教育の最大の欠点は、人間を相対評価して、序列をつけることであり、しかも、相対評価の基準は、受験教科とされている、限られた教科の試験の点数で判定されることである。

人格には、全く関係がないばかりでなく、人間として、いろいろな才能があることを無視して、人間を"品定め"してしまうことである。

よく耳にする言葉として、「いい学校に入るために、勉強を・・・」「いい会社に就職するためには、いい大学に行かなくては・・・」「うちの学校には、いい子に来てほしい」等々があるが、いったい「いい」とは何をさしているのであろうか。

大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座