大橋直久「チャンス話法」

チャンス話法のなかでも、キャンペーン中の特典割引というのは、実質的には裏での値引き価格を定着させてしまう。

二者択一話法は、安いものには有効だが、高額商品となると、二つの商品を薦められたために、お客様が迷って購入決定を先送りしてしまう危険性を招く。

直接話法は、選挙のときに候補者が「よろしくお願いしま〜す」と連呼するのに似て、相手の支持を取りつける切り札がないことを自己暴露している。

以上のような無理があるから、へたに従来のクロージング話法を使うと、せっかくの商談をまとめる段階でビジネスが決裂してしまう事態となるのである。

しかし、この重大な事実に気づいているセールスマンはひじょうに少ない。

たいていは、押しの一手でお客様を説得し、無理やりにクロージングに持ち込もうとして、お客様の反発を招いて失敗する。

もしくは、クロージングをすると断わられるのではないかとお客様を怖がって、なんとなくあいまいのままお茶を濁し、けっきょく成約を見逃してしまう。

大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座