大橋直久「クロージングの効果的ポイント」

お客様との打合せや商談が終わると、たいていのセールスマンは、次回アポイントメントをもらっただけで帰ってきてしまう。

そのさい、お客様は「では、いちどデモを見てみよう」とか、「じゃあ、とりあえず見積書を持ってきてよ」といってくれる。

だが、はたして本気でそれを要求しているのか、それともセールスマンに早く立ち去ってもらうために、ていよく追い返す口実でそういったのか。

これは疑ってみる必要があることなのだ。

あるとき、わたしは研修を依頼してきた企業の協力で、その会社の約三〇〇件の営業日報を点検し、そこのお客様への追跡調査をした結果では、全体の六七パーセントがなんとなくデモを見ようといったまでだとか、文字通り「とりあえず」見積書をもってきてほしいといったまでであって、お客様は本気でそれにコミットしようとはさらさら思っていなかったのである。

ところが、セールスマンのほうではお客様からコミットがもらえた、つまり商談が前進したと喜んでいる。

それがぬか喜びだと気づいていない。

そして、それが実際には本物でなかったことは、クロージング段階で最終的に合意がもらえないことによって判明するのである。

大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座