大橋直久「いいこともあれば悪いこともある」

人間万事塞翁が馬で、この世の中は、いいこともあれば悪いこともあるのに決まっている。

ところが、やっかいなことに、今度はいいことがあるだろう、きっとあるだろうと思って待っていると、いいことはなかなかなくて、反対に悪いことは準備もしないうちにいきなり襲ってきたりするものである。

ニュースなどで、タクシーに乗ったら座席に紙包みが落ちていて、あけたら何百万円という札束だったので、びっくりして交番に届けたら、やがてのことに落し主が現われて、一割の謝礼を

もらってアッという間に財布がふくらんだなどという話がよく報じられる。

一回ぐらいは自分にもあんな幸運がきたってよさそうなもんだ、と誰しも思う。

そこでタクシーに乗るたびに、用心深く座席をみたり、床の下の方を捜したりすると、かえってボケヅトにさした万年筆を落としたりして損をすることがある。

道で宝くじを拾って、それが大当りだったという確率と、歩いていて自動車に大当りだったという確率は、どちらが大きいか、考えてみてもわかる。

しかしながら、よほど十分な準備をして待つなら別だが、いわゆるッイているッイていないと俗にいわれるように、運不運がほんの紙一重の差で思いがけずやってくるのも、また事実である。

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大橋直久「電話での名乗り方」

電話をかけて、会社名しか言わない人、個人名しか名乗らない人、いずれもよろしくない。

はっきり名前を伝えることは必要である。

それは自信にも関係している。

おどおどしたり、何か後ろめたさを感じている時は、どうしても歯切れが悪くなるものである。

はっきり名乗ることが、自信をもたせるということにもなる。

難しいのは目的である。

何のために質問するのかということを手短かに、かつ明確に伝えることはけっして容易ではない。

電話で何かを聞くというのはいろいろなケースがあるが、「研究のために」、ヲポートを書くために」、〒関心があって」、「外国の関係先から尋ねられて」などが主なものだろうか。

一番難しいのは、市場調査に関連した電話インタビューであろう。

とくに、調査委託者と尋ねている相手がコンペティターの関係であれば、どのような質問にしろ、質問に答えて得になることはない。

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大橋直久「変型の社交性」

(6)の他の社会の人と話したがるというのは、変型の社交性を示すようです。

この理由は、同じ場所で働いている人たちと話すと、実のある話をする場合もありますが、えてして不平不満のぶつけ合いということになりかねないので、これが非常に嫌いであること。

もうひとつはもの珍しがりやで、新しい事柄や知識を知ることに興味があるためです。

(12)の場合のように飲みながらでも話したくないというのと共通しています。

私自身は五十歳まではかなりの酒飲みだったのです

が、職場を離れて職場の話をするのはまっぴらです。

性格的には他の社会にいる人と話したがったり、(8)の大勢の人に話すことがあまり苦にならないというのは、ある意味で私がかなり積極的な性格の持ち主であるのかもしれません。

ただ問題なのは私の現在の職業のような場合は、このように人生とか文学とか美術のような非現実的な話を好んでもさしつかえない面もありますが、もしふつうのサラリーマンなり商業や農業に従事している人ですと、ときによっては職業人として不向きな場合もあることです。

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大橋直久「自分の生い立ちや性格」

自分の生い立ちや性格がわかってしまうようで、なんと人生論のようなものがいちばん話しやすいというのは、たとえば、話の第一の条件として、簡単な方法でよいから、人を観察することについて書いていることからもご推察願えると思います。

したがって(7)の身の上相談とか、(10)の同年または後輩と話すことなどは、よくこれからの人生をどうやって生きるかという話と一脈通じてしまう場合があるので、当然得手のほうにはいってくると思います。

ただそれが、(1)(2)(3)と並ばずに(1)(7)(10)となってしまうのは、(7)と(10)の場合は単に示唆を与えたり、共感を呼び起こすだけではなく、ときには実際に行動に移して、いわゆるお世話をしなくてはならないときがあります。

そのためには時間的にも経済的にも余裕がなくてはならないので、すぐには応じきれないことがあるからです。

社会人になると、急に読書力が落ちて、小説を読んだり、美術を鑑賞したりする暇がありませんが、この種の話が割合得意だというのは学生時代からの習慣のようなものです。

昔の高等学校や大学時代のほとんどを友だちとこういう話をして明け暮れたことが、いまだに心のなかに深くしみ込んでいるのです。

これは自分でもよいことだと思っています。

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大橋直久「話題の得手・不得手を分類してみる」

まず自分の話を知りたいものです。

あなたはどんな話が得意で、どんな話が不得意ですか。

人は誰でも話しやすい話題と、そうでないものとがあります。

何人かが集まって話しているとき、自分の不得意な話題、あるいは話しよい相手ではないときに、どうやって自分のペースに持ち込むかは、話し上手になるひとつの道でもあります。

私自身を例にとって分類すると、次のようになります。

(1)人の生き方について話すこと。

(2)文学の話。

(3)美術について。

(4)過去の思い出。

(5)ひとつのテーマについて議論すること。

(6)自分の仕事場以外の人と話をして、他の社会についての知識を得ること。

(7)身の上相談。

(8)大勢を相手に話す。

(9)風流といえぽ聞こえがいいある種の話。

(10)同年輩、またやや年下の人と話す。

(11)子供との話。

この次あたりからやや不得意の話になってきます。

(12)飲みながら職場の話をする。

(13)なんとなく人が集まったときの座談。

(14)初対面の人と話す。

(15)先輩と話す。

(16)老人と話す。

(17)中年の女性と話す。

(18)若い女性と話す。

(19)他人のうわさ話。

こうして、あらためて並べてみると、なく面はゆいものです。

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大橋直久「話の必要性」

話そのものの必要を最初から感じている場合ですが、話をしているうちに自分でもおかしくなって、なんとかしなければならないと思う場合もあります。

それは、次のようなときです。

(1)自分を相手によく思われようとしたり、知識を示したり、自分を売り込めるチャンスがきた とき。

(2)数人または大勢の集まりのなかで、なんとかして自分のほうへ興味を引かせようとするとき。

(3)話し上手な人がいて、その人をうらやましいと思ったとき。

(4)話が途切れて、妙な空白ができ、それを救おうとするとき。

(5)会合の席で、座が白けてしまったとき。

では、こうしたいろいろな場合にどうしたらよいか。

その答えをここに出すのは、私の方法としてはあまりにも早すぎるのです。

その理由は、このようにすべしという公式を与えればすぐ解決してしまうほど人間が話をすることは単純ではないということです。

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大橋直久「雰囲気を感じ取る」

その場の雰囲気をいかに敏感に感じとるか、あるいはどうやってムードを作りあげていくかが前提条件になるのですが、それはさておき、人が話し上手になりたいと感ずるのは、次のような場合です。

(1)大勢の人の前で話をしなければならないとき。

つまり、演説、テーブルスピーチ、司会、説明など。

(2)せっばつまった事柄をいわなけれぽならないとき。

借金、プロポーズなど。

(3)方便としてウソをつかなければならないとき。

(4)初対面の人と話すとき。

(5)異性と話すとき。

(6)目上の人と話すとき。

(7)地方なまりが気になるとき。

(8)相手を説得したり、議論をしたりするとき。

(9)商談。

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