大橋直久「接客会話のマナー その2」
飲食店で、「お相席、よろしいですか」と言われることがある。
混んでいるときはお互いさまなので、「どうぞ」と答える。
先日、四人掛けの席に一人ですわり、天ざるを注文した。
するとそこに三人連れの中年女性が相席することになり、とり囲まれてしまった。
・・・ヤバイ!
案の定、ペチャクチャと三人で盛りあがり、こちら軒先貸して母屋をとられた住人のごとく小さくなっていたが、天ざるが運ばれてきてからは地獄だ。
三人監視の中で食べた気がしない。
目をあげ、「救ってほしい」とキョロキョロするが、店員は気付いてくれない。
すると、年配のアルバイトらしき女性が、ふっと横から近づいてきて、小さな声で、
「あの、お客さま、あちらが空きましたので、どうぞ」
と三人を連れだしてくれたのだ。
どんなにその気ばたらきに感謝したことだろう! 急におそばの味がよみがえってきた。
相席といってもいろいろなケースがあるが、このように、特に一人対多勢の場合は気をつけてあげよう。
一度すわったらそれで終わり、と鈍感サービスにならないようにしたい。
そして、その移動のポイントは、たとえ人数が多くても、あとから来たお客のほうを、ていねいにお願いするかたちで移動させること。
大橋直久〜就活生・新社会人のためのマナー講座